大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)148号 判決

一 本件に関する特許庁における手続の経緯および審決の理由の要旨に関しては、当事者間に争いがない。

二 そこで、審決を取り消すべき事由の有無について判断する。

成立につき争いのない甲第二および第四号証によれば、本件商標および引用商標の各構成、その指定商品、各登録出願および登録年月日ならびに引用商標についての商標権存続期間の更新登録年月日が、いずれも審決の認定のとおりであることが認められる。

ところで、引用商標は、「ホワイト」と「カツプル」の二つの語の結合から成るものであるが、引用商標を構成する「ホワイト」の語は、一般に英語の「WHITE」に由来する白色を表わす形容詞として理解され、「ホワイト」の語が、商標の構成部分となつている場合には、特段の事情のないかぎり一般の需要者は、「ホワイト」の語が白色を意味するものとして、商品の色彩もしくは品質を表示するものと認識理解するとみられるから、一般には、このような意味での「ホワイト」の文字は、商標の構成部分となつていてもこの部分には、自他商品の識別力がないと解されるのである。

この点、審決は、引用商標は、「ホワイトカツプル」の文字を左右に釣り合いよく配してなることおよび全体として「汚れなき(清純な)恋人同士」のような熟語的意味合いを有するものであることから一体のものと認識把握されるものとする。

しかしながら、成立につき争いのない甲第四号証によれば、引用商標の「ホワイトカツプル」が、同一書体の片仮名文字で統一され、しかも左右に釣り合いよく配されているとはいえ、「ホワイト」と「カツプル」の部分は、明らかに分離されて配置されていることが認められ、かつ前叙のとおり「ホワイト」なる語が白色の色彩を表わす語として世間一般に親しまれた語であることを考え合わせると、審決が指摘した外観上の配置の点は、必ずしも引用商標が構成上、一体不可分のものと理解すべき根拠とはなりえないものである。また、引用商標からは、全体として「汚れなき(清純な)恋人同士」の観念が生ずるとした判断も、誤りであるというべきである。すなわち、「ホワイト」の文字は、本来「白」、「白色」などの語義を持つ英語「WHITE」に由来し、かつ「カツプル」の文字が英語「COUPLE」に由来するものであろうと推測されるが、いかに英語知識の普及が目ざましいとはいえ、引用商標の指定商品である「菓子、パン」の需要者層が年少者を含む比較的広い世代に及ぶことを考えると、ひろくこれら需要者が、「ホワイトカツプル」の文字を見て、直ちに全体として「汚れなき(清純な)恋人同士」という熟語的意味合いを有する一体不可分の語として認識理解できるものとは到底認め難い。むしろ、一般の需要者としては、「ホワイト」の本来の意義に即して「ホワイト」の文字を商品の色彩もしくは品質を表示するものと認識するものとみるのが相当であり、引用商標における「ホワイト」と「カツプル」の文字は、「ホワイトカツプル」と常に一連不可分に称呼し、観念される程いまだ強固に結合しているものとは認められない。

したがつて、引用商標は、前半の「ホワイト」の部分に商品識別力が乏しいところから、後半の「カツプル」の部分において、本件商標と同様の称呼、観念の生ずる場合が少からずありうるというべきである。

そうすると、引用商標は、「ホワイトカツプル」と一連にのみ称呼され、「汚れなき(清純な)恋人同士」の観念を生じさせるものとし、これを前提として本件商標が引用商標と類似しないとした審決の判断は誤りと認められる。

三 よつて、審決の取消を求める原告の本訴請求は正当であるからこれを認容することとする。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

別紙(一)

<省略>

別紙(二)

<省略>

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